旅客流動の考察

架空鉄道界隈で、乗降客数や旅客流動について扱っている作者は多くありません。あくまでそれぞれの架空鉄道が存在する架空世界での話を扱っているため、現実世界の住民の移動まで考えてしまうと、想像や妄想の範疇を超えてしまうからだと考えられます。

しかし私は、「鉄道が走る=旅客が生まれる」と考え、「旅客がいる=鉄道が走る」と考えています。なので架空鉄道を想像するにあたって、乗降客数や旅客流動も想像や妄想も必要不可欠なのではないかと考えています。

「架空鉄道が現実に存在した場合の流動など分かりえないのは当たり前なので、現実世界では到底見込めない流動を設定してもいいじゃありませんか。」というスタンスで、かえでんでは各駅の乗降客数と各区間の通過人員を設定しています。逆に言えばかえでんは、上記の乗降客数と通過人員が存在する世界線にある設定と言えるでしょう。

開業から長きにわたって、かえでん最大のターミナルは現在の新潟万代付近にあった「萬代橋」という駅でした。新潟地震の復興過程で市内の公共交通の再編が叫ばれ始め、難工事の末新潟古町への延伸を兼ねて市内地下線が開通します。萬代橋は地下化され「新潟万代」へ改称されましたが、延伸と同時に「新潟古町」へターミナルの地位を譲りました。かえでんの延伸で一時は隆盛を見せた古町エリアも、2000年代以降の万代地区の再開発に伴い相対的に地位は低下傾向にあり、ターミナルの座を明け渡した新潟万代が引き続きかえでん最大の乗降客数を誇っています。

村上線・阿賀野線双方ともに基本的には新潟市内に向けての一方向の流動となっています。それぞれ車庫のある聖籠と横越を境に輸送量が段落ちしており、通勤通学圏の縁辺がこの辺りにあることが想像できます。村上線末端部では新潟市内への通勤通学の流動がほぼ皆無となり、岩船や村上市方面への流動が大きくなります。そのため、流動の底は胎内市~村上市境となっています。

村上線の木崎・藤寄・聖籠周辺と阿賀野線の東亀田・横越周辺では、関連会社によるニュータウン開発がバブル期ごろから盛んにおこなわれ始めました。現在では高齢化に伴う生産労働人口の減少によりそれぞれ最盛期の7~8割の乗降人員まで落ち込んでしまいましたが、再開発の動きもあり、沿線の再興に向けた機運が高まっています。

(執筆:作者N)