- 概要設定目次
- 2.乗降人員・旅客流動
- 3.運賃設定(当ページ)
- 4.配線図
- 5.ダイヤグラム・時刻表
- 6.社史・沿革
- 7.古町延伸と下越百貨店
通常運賃表
営業キロ | 現金 | Ni-Ca |
0.0~3.0 | 170 | 150 |
3.1~5.0 | 200 | 180 |
5.1~7.0 | 260 | 230 |
7.1~9.0 | 340 | 310 |
9.1~11.0 | 400 | 360 |
11.1~14.0 | 470 | 420 |
14.1~17.0 | 540 | 490 |
17.1~21.0 | 620 | 560 |
21.1~25.0 | 700 | 630 |
25.1~29.0 | 780 | 700 |
29.1~34.0 | 870 | 780 |
34.1~39.0 | 950 | 860 |
39.1~44.0 | 1,040 | 940 |
44.1~49.0 | 1,120 | 1,010 |
49.1~55.0 | 1,220 | 1,100 |
55.1~61.0 | 1,310 | 1,180 |
61.1~68.0 | 1,420 | 1,280 |
68.1~75.0 | 1,510 | 1,360 |
75.1~83.0 | 1,600 | 1,440 |
83.1~91.0 | 1,680 | 1,510 |
空港線加算運賃表
加算運賃 | 現金 | Ni-Ca |
新潟空港 ~ 各駅 | 通常運賃 + 120 | 通常運賃 + 110 |
えちご下山 ~ 新潟空港を除く各駅 | 通常運賃 + 50 | 通常運賃 + 50 |
あがのテクニカルパーク ~ 新潟空港を除く各駅 | 通常運賃 + 50 | 通常運賃 + 50 |
運賃設定
かえでんでは、近距離は高額で遠距離は低額となる「遠距離逓減制」を採用し、ボリュームゾーンとなる新潟古町~聖籠・横越・新潟空港の区間で効率的に運賃収入が得られるように設定しています。
阿賀野線方面を例にとると、新潟万代~東亀田の乗車の場合運賃は400円ですが、並行するJR線の新潟~亀田の運賃は200円と、実に2倍の設定となっています。
「遠距離逓減制」と言えど、遠距離の場合はJRよりも安価になるかというと実はそうでもありません。逓減率は極めて低く、新潟古町~村上市1,310円に対しJR線新潟~村上1,170円と、JR線の運賃を下回ることはできません。運賃面では競合する公共交通機関に対し劣勢に立たされているといえるでしょう。
そこでかえでんでは、地域の気軽な足として機能すべく、並行するJR線に対してより多くの駅を設け、並行するJR線では拾いきれないニーズを満たしています。また、地域の拠点となる駅を中心に、列車に接続するフィーダーバスを運行し沿線だけでなくより広範囲から乗客を集める戦略をとり、競合他社に対抗しています。これにより、競合する路線バスに対しても定時制や速達性で優位に立っています。
現在フィーダーバスは8路線が運行され、列車とフィーダーバスを乗り継いだ場合乗り継ぎ先の初乗り運賃分を割引く取り組みがなされています(Ni-Ca利用時のみ)。金額にして150円もの乗継割引は全国的に見ても珍しく、鉄道単体の割高感を抑え広域から利用者を集められるという効果が得られています。
1996年に開通した空港線は、建設費回収のために加算運賃を適用しています。バブル期に策定された需要予測に対し実際の利用率は大きく下回っており、償還のめどは立っておらず、利用者にとっては大きな負担となっています。
定期券料金設定
かえでんの定期券代の設定は、他の中小私鉄と同等レベルの割引率としています。いずれも基準額はNi-Ca運賃で、通勤定期の場合Ni-Ca運賃に0.70~0.46を掛けたもの、通学定期(中高大生)はNi-Ca運賃に0.48~0.26を掛けたもの、通学定期(小学生)は通学定期(中高大生)の半額となっています。
都心部の大手私鉄などでは、通学定期の割引率をより大きく設定している場合が多いですが、地方都市の場合、通勤需要より通学需要のほうが大きなウェイトを占めると考えられるため、かえでんも通学定期の割引率を低くとり、重要な収入源としています。
日本全国の実在他社との比較
日本全国には無数の中小私鉄が存在しますが、その中で各県の県庁所在地に乗り入れる7社と、かえでんの運賃を比較してみました。全区間にわたって富山地方鉄道が高額な運賃設定となっていますが、短距離では神戸電鉄や上毛電気鉄道が、中~長距離ではや長野電鉄が比較的高額な設定となっています。
大手私鉄の場合、他社との競合区間であったり、純粋に利用の多い区間の運賃を比較的安価に設定したりすることで、利用客を取り込む例が見られます。しかし中小私鉄の場合は、多くの利用が見込める区間を意識的に高額に設定し、客単価を高めることで収益を確保している場合がほとんどです。神戸電鉄の場合は「湊川~鈴蘭台(7.5km)」、上毛電気鉄道の場合は「中央前橋~大胡(8.3㎞)」あたりがボリュームゾーンになるので、短距離が高額な設定も頷けます。長野電鉄は「長野~須坂(12.5㎞)」の通勤通学需要のみならず、「長野~湯田中(33.2km)」といった観光需要も大きいため、ボリュームゾーンは中~長距離となり、該当する区間の運賃を高額に設定していると考えられます(その中で「長野~朝陽(6.3㎞)」は競合他社が存在するため比較8社で最安値を付けているのは特筆に値します)。富山地方鉄道が全区間にわたって高額なのは、おそらく他社のような収益を上げやすいボリュームゾーンに乏しいからではないでしょうか。
かえでんは短距離・中~長距離ともに比較8社では中位に位置しています。これによりまとまった旅客が見込めるボリュームゾーン(新潟古町~聖籠・横越・空港=約10~20㎞圏内)と、比較的長距離の利用が見込める観光利用(新潟古町~瀬波温泉約50㎞ 新潟古町~安田約30㎞)双方から堅実な収入を得ることができています。新潟市の都市規模の大きさによりまとまった通勤通学需要が得られるため、先に挙げた4社ほどの高額運賃を設定するまでには至っていません。
(執筆:作者N)